2010-09

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

高山にすむバッタ アカイシコバネヒナバッタ

悪沢岳と丸山
南アルプス標高3000m級の山々(中央左奥のピークが悪沢岳、中央右のピークが丸山 9月)


高山蝶と呼ばれるチョウの仲間のように寒冷地に適応し、日本には氷河期に渡ってきたと考えられている昆虫たちがいる。こういった北方系の種は本州においては高山に取り残されるように生息していて(地理的)遺存種と呼ばれる。クモマベニヒカゲやタカネヒカゲのように有名なチョウのほかにも高山に生息する昆虫の仲間がいる。このうちの一つが高山性ヒナバッタとされているコバネヒナバッタ類やミヤマヒナバッタといったバッタの仲間である。

アカイシコバネヒナバッタのメス
アカイシコバネヒナバッタのメス


高山性ヒナバッタのうち、南アルプスにはアカイシコバネヒナバッタ Chorthippus fallax akaishicus というコバネヒナバッタの一種が生息している。このバッタの分類学的な立ち位置はChorthippus fallaxというバッタの赤石山脈に生息する亜種ということになっている。

アカイシコバネヒナバッタのオス
アカイシコバネヒナバッタのオス


長々とした説明が続きましたが簡単に言えば高山に適応したバッタの仲間が南アルプスにも生息しているということです(みじか・・・)。


メスの顔
メスの顔


このバッタの特徴としてはねが短く退化(進化でもある)していることがあげられる。特にメスのはねはとても小さい。

顔のアップ
メスの翅(はね)は特に短い


また、もう一つの特徴として体の色と模様に変異が見られ、緑、赤(赤褐色)、黄(黄褐色)、黄色がかった白など、様々な色の個体が見られることがあげられる。


黄色オス緑色のオス黄褐色のメス赤褐色のメス
上段左 黄色いオス 上段右 緑色のオス
下段左 黄色いメス 下段右 赤いメス


オスとメスの形の違いや、体の色の変異を知らないと別種かと思ってしまうかもしれない。

緑オスと赤メスの交尾
緑色のオスと赤褐色のメスの交尾


アカイシコバネヒナバッタは稜線沿いに広く見られるが、植物のはえている場所には多くの個体が見られる。

花畑と草地
お花畑と草地(丸山山頂 標高3032m 7月)


8月中旬のお盆のころは幼虫が多い。

赤い幼虫緑色の幼虫
赤い色の幼虫                      緑色の幼虫
 
成虫はお盆を過ぎたころから見られるが、数が出そろうのは9月に入ってから。
観察しているとオスは周囲の動くものに見境なく反応して抱きつくことがあり、オスがオスに抱きつきにいくこともあった。平地に比べて気温と天候によって活動できる時間は制限されるので、オスにしてみれば活発に動ける間はすべて繁殖行動にかけていたいのだろうか。


白メスと黄色オスの交尾
交尾個体

成虫は10月末の雪が降り始める時期まで活動を続け、積雪とともに一生を終えるという。


交尾
丸山山頂で撮影







参考文献
日本直翅類学会編(2006)バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑.728pp.北海道大学出版会.
石川均(2004)アカイシコバネヒナバッタ.まもりたい静岡県の野生生物-県版レッドデータブック-(動物編),p.258.


撮影メモ

今回は以前とりあげたテカリダケフキバッタに続き、高山に生息するバッタの紹介でした。
アカイシコバネヒナバッタの面白いところは翅が退化していることだと思う。厳しい環境でなおかつ餌資源が限られているので、翅を作ることに栄養を費やさなくなったのだろうか?
個人的にはアカイシコバネヒナバッタはメスの方かかっこいいと思う。その中でも緑色のメスが一番かっこいいと思う。オスは結構小さくよく動きまわるので写真に撮るのが結構大変で、あまり満足いく写真がない。また機会を作って撮影に行きたい。




撮影機材
Nikon D300、D3100
AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5
AT-X M35 PRO DX 35mm F2.8
AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G
SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 OS
スポンサーサイト

テーマ:昆虫の写真 - ジャンル:写真

北のむしたち チョウの巻 (北海道 2日目1/2)

林道を歩いていると、道脇にある草地の花にチョウが訪れていた。
日本では北海道に来ないと見られない種が多く、みているだけで楽しくなってくる。

ヒメウスバシロチョウ
ヒメウスバシロチョウ


エゾシロチョウ
エゾシロチョウ


ホソバヒョウモン
ホソバヒョウモン


ホソバヒョウモンとぶ
とぶ


この日は天気がよくてかなり暑かった。
林道を進み、太陽が高くなるにつれて「ちょっと北海道にしては暑くない?」という感じになってきた。
林道を奥に進んでいくと河原がやや広がっている場所に出た。静岡だったら河原の昆虫たちが出てきそうな環境。
とりあえず川の水に触れて涼もうと水辺に近づく。

河原
河原


川の中に長靴ごしに足をつけると暑さが和らいでくる。まわりを見ているとシジミチョウがとんでいるのに気づいた。
「あ、ジョウザンシジミだ!」


ジョウザンシジミ
ジョウザンシジミ


このチョウも北海道に来ないと見られないチョウで、図鑑を見るたびにちょっといいなと思っていたチョウだった。
「これは魚眼レンズも使わねば!」
と魚眼レンズをとりだし撮影する。


河原のジョウザンシジミ
久々に魚眼レンズで昆虫を撮影

この後、急に雲が出てきて小雨が降ってきたので退散する。



撮影メモ

撮影地:上川町
撮影日:2010年6月28日

コマクサ平に比べると季節が進んでいて昆虫がたくさん見られた。しかも北海道に来なければ見られない種が多くてとても満足。しかし採集しつつ撮影をしていたため、どっちつかずになってしまった感もある。もっと採集もしたかった。ただし、ヒグマがいると思うと気がぬけず、常に誰かに見られているような感じがした。今度は誰かときたい。




撮影機材
Nikon D300
AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5
AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G
SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 OS

テーマ:昆虫の写真 - ジャンル:写真

秘湯でゆるゆるしてみる (北海道3日目1/2)

北海道3日目にして早くもだれてきました。昨日は宿代をうかすために車で寝たので朝は早い。が、疲れはあまり抜けていない。大雪山周辺に滞在するのは今日まで。しかし今日はこれといった目的は特にない。


地図を見ると高原温泉という場所を発見。ここは車で行ける場所のわりに標高が高いので行ってみることにした。



大雪高原山荘
大雪高原山荘


温泉のある建物からちょっと山の方に向かうと遊歩道沿いに穴が何個もあった。この穴から硫黄の匂いと「ドプドプ」という感じの何とも言えない音がしてくる。

穴

穴の中を見ると地球の息吹が観察できました。本物のマドハンド(古い)ってこれだったのか!

わきだす温泉的なものたちマドハンド
マドハンド?

散歩をしながら見つけた生き物をゆるーく撮影。解説もゆるめ。


牛の模様みたいな翅を持ったガ。けっこうかわいい模様です。

ウシのもようをしているガ
ホルスタイン牛みたいな模様


ダイセツヒナオトギリであることを示す看板の下に咲いていた花。珍しい植物のようです。

ダイセツヒナオトギリ
ダイセツヒナオトギリらしい


せっかくここまで来たので温泉に入ってみることにしてみた。
この温泉は入って正解でした。平日ということもあって露天風呂は貸し切り状態。


上をみれば青い空。



そら


遠くを見れば新緑と雪。


温泉からみえる風景


温泉に入りながら、「日本に生まれて良かった」と幸せをかみしめました。
温泉からあがると腹が減ったのでキノコカレーを食べてしまった。


キノコカレー
キノコカレーはおいしかった

ああ、どんどん昆虫たちから離れていく・・・。

テーマ:昆虫の写真 - ジャンル:写真

北のむしたち 湿地の巻 (北海道 2日目1/2)

北海道2日目は多くの虫たちとふれあうため、林道を歩くことにした。
林道といえばヒグマが恐ろしいがクマ鈴、クマよけスプレー、ナタとクマ対策の道具一式を装備していく。林道を歩いていくとのっけから道の真ん中にエゾシカ?の肉片が転がっていた。と、ここでヒグマについて予習したことを思い出す。


「ヒグマはシカ(の死体)など一度に食べきれない量の餌を得ると餌を土に埋め、餌のそばにとどまっていることがある。隠した(つもりの)餌には執着し、餌を奪う者に対しては攻撃することがある。」


「帰りたい・・・・。しかし、もう出てくるものならば出てくるだろうからとにかく肉には触れずに移動だ。」と考え、肉片を一瞥しつつさっさと移動する。




しばらく行くと湿地を発見。


湿地

湿地

湿地をみているとなにやらサナエトンボがいる。さっそく撮影していたが、このサナエは無情にも飛び去ってしまった。コサナエだと思う。


コサナエ
多分コサナエ


湿地の地表部を見ると何やら小さな虫が動いている。ゴミムシのようだったが、よーく見るとハンミョウモドキ!
今までハンミョウモドキの仲間は見たことがなかったのでこれはうれしい。写真に撮ったあとで気づいたけど、体の色が周りの泥やコケに似ている。


ヒメハンミョウモドキ
ヒメハンミョウモドキ

数は多くなかったけど、赤いやつもいた。

赤いやつ
移動速度は緑のやつと同じ



湿地に生えている植物をみているネクイハムシの仲間を発見。キヌツヤミズクサハムシ(スゲハムシ)だった。ネクイハムシの仲間では普通の種だと思うけど、静岡県では産地は少ない。


キヌツヤミズクサハムシ
キヌツヤミズクサハムシ

こちらも体の色が赤みを帯びたものを発見。

キヌツヤミズクサハムシ交尾
交尾


いわゆる普通種に該当するのだろうけど、北に分布域を持っている昆虫たちと触れ合えて満足したサカイはさらに林道を進んでいくのであった。


つづく

テーマ:昆虫の写真 - ジャンル:写真

ウスバキチョウはとまらない (北海道 1日目 2/2)

ウスバキチョウを求めてやってきたコマクサ平でサカイは北海道の魅力あふれる被写体に出会うのだった(あらすじ?)


コマクサ平の風景
コマクサ平


コマクサ
コマクサ

チングルマ
チングルマ


イワウメ
イワウメ

キバナシオガマ
キバナシオガマ


イワブクロ
イワブクロ


花がきれいですね~。
さて、帰りましょうか?




え?ウスバキチョウは?
いませんよ。私のカメラにばっちり写ってくれる気のいいウスバキチョウはどこにもいませんよ・・・。


撮影を開始して1時間ほどたった頃、私はspatica君から聞いたある言葉をかみしめていた。
「ウスバキチョウは晴れると飛び回って、曇が出てくると動かなくなるので撮影が難しい。」

この日は天気が良好で気温が高いためか、ウスバキチョウはとてもよく飛びまわっていた。たまに地面に降りて止まるのだけど、たいていは登山道からは写せない位置にとまってしまうので全く絵にならない。そして時折雲が出てきて日光がさえぎられると、パタッと動きが無くなる。

遠い
遠い・・・

近くに来ていてもやる気無くベタっととまってしまって絵にならない。


角度悪い
角度悪い


やっと近くに止まった個体を撮影するも草がかぶってしまい、なんとも言えないカットになってしまった。


なんとか撮影
草がかぶってしまった



おまけにこの日はダイセツタカネヒカゲが乱舞しているといってよいほどたくさん飛んでいた。太陽が顔を出すと、どこを見ても視界の中にタカネヒカゲが数個体は見られるという状況だった。このタカネヒカゲが曲者で、ウスバキチョウにちょっかいを出すことがしばしばあって撮影のチャンスを邪魔されてしまうこともたびたびだった。


ダイセツタカネヒカゲ
ダイセツタカネヒカゲ


贅沢な悩みといえばそうなのだけど、やはりウスバキチョウの撮影が目的なので困ってしまう。


交尾するダイセツタカネヒカゲ
交尾するダイセツタカネヒカゲ



そんなこんなで気づけば4時間以上が経過してしまった。何度ウスバキチョウに「止まれ」と念じただろうか。
すでに15時を過ぎてあきらめていた時、登山道の岩かげに確かにウスバキチョウが止まった。岩の後ろからそっとみると地面で吸水しているようだ。


吸水するウスバキチョウ
吸水するウスバキチョウ

うーむ。手前の岩が邪魔。今回はこれが唯一のチャンスだったので仕方ないか・・・。
コマクサ平ではウスバキチョウを見るのは簡単だけど、良い写真がとれるのはタイミング次第?。自分のペースで撮影したいのなら標高をあげて比較的自由に歩ける場所に行くのが良いのではないだろうか。
今回は荷物をいっぱい持っていたので赤岳は遠慮しときます。この斜面は無理でした。


レッツスキー
山スキーの人たちがんばりすぎ





撮影メモ

撮影地:大雪山コマクサ平
撮影日:2010年6月27日

コマクサ平は周囲の山に比べて季節のめぐりが早いように感じた。ウスバキチョウを見ているとすでにはねがすれている個体がけっこういることに気付いた。
「これじゃウスバキチョウではなくキイロウスバシロチョウだよ~」と思いながら撮影。
いずれにせよウスバキチョウの撮影は今後の宿題になってしまった。また来年かな・・・。


撮影機材
Nikon D300
AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5
AT-X M35 PRO DX 35mm F2.8
AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G
Ai AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED
SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 OS



追記
静岡に帰ってきて「月刊むし473号」にウスバキチョウの発生時期について興味深い論文を発見。
渡辺康之(2010)温暖化と北海道の高山蝶~生態への影響について~.月刊むし(473):30-37.
厳しい環境にひんぱんに通って記録と写真を蓄積している渡辺康之さんには頭が下がります。

テーマ:昆虫の写真 - ジャンル:写真

«  | ホーム |  »

プロフィール

駿河区のサカイ

Author:駿河区のサカイ
静岡市在住

最近忙しく、
「撮れるうちに撮っておけ」
という言葉が身にしみる日々です。


写真の使用などに関するお問い合わせは以下のアドレスまでお願いします。

suruganosakai@gmail.com

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (2)
河原の昆虫記 安倍川 (4)
安倍川 (9)
河原 (2)
伊豆 (3)
南アルプス (2)
砂礫地 (1)
湿地 (2)
蜻蛉目(トンボ目) (4)
直翅目(バッタ目) (7)
半翅目(カメムシ目) (3)
鞘翅目(コウチュウ目) (4)
鱗翅目(チョウ目) (9)
カエル (3)
駿河区 (2)
長野県 (2)
日常 (6)
むしたび (7)
膜翅目(ハチ目) (3)
けもの (1)
蟷螂目(カマキリ目) (0)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。